阿武隈川源流の滝 (Abukumagawagenryu no taki)

福島県西白河郡西郷村小田倉赤面山国有林
 福島県西白河郡西郷村、小田倉赤面山国有林の奥深く。阿武隈川の源流域は「甲子八十八滝」と呼ばれるほど滝の多い場所で、とりわけ本沢には落差50メートル級の滝がいくつも連なっている。
 しかし、そこへ至る登山道は存在せず、雄滝までは沢を遡るしかない。さらに赤滝へ向かうには、雄滝右岸の崖を160メートル以上登り、今度は100メートルの崖を降り、そこから再び沢を詰めるという過酷な行程が待ち受けている。往復には7時間以上を要する。
(警告)
 今回のルートは完全な沢登りで、入山者はほとんどいない。携帯電話も通じない。途中から道標も消え、管理された登山道とはまったく異なる世界となる。自然条件への理解、技術、装備のすべてが問われる場所だ。
 また、大熊滝や阿武隈川(クマは本来「隈笹」の意)の名が示す通り、熊の生息地でもある。
 この記録を参考にしても、行動はすべて自己責任となる。単独行は特に危険で、事故が起きれば致命的な結果を招きかねない。慎重すぎるほどの注意が必要だ。


撮影2014/7/13
(5時30分)
 東北自動車道・白河インターを降り、国道289号線(通称・甲子道路)を進む。
 甲子トンネル手前の甲子温泉の案内を左折し、さらに林道へ入って車を停めた。ここを朝の5時30分に出発する。
(携行装備)
 ・沢靴、ストック、ヘルメット、手袋、熊避鈴、熊避スプレー、音楽プレイヤー
 ・GPS、コンパス、地図、デジカメ、ヘッドライト
 ・食料(ウイダーインエネルギー×3、弁当×1、ペットボトル×1)
 歩き始めるとすぐに安心坂トンネルと甲子トンネルの間に架かる大きな橋が見えた。。
(6時00分)
 林道は途中で二度ほど沢から離れるが、そのまま進むと道が途切れ、沢へと降り立つ。ここからが本格的な沢登りとなる。
(6時30分)
 道なき道を進む途中、阿武隈川が水路状になった場所に出た。大河の阿武隈川も、源流は一跨ぎ出来るほど細い。
大熊滝雌滝 (オオクマタキメタキ) 落差15m 評価7
(6時45分)
 歩き始めて1時間15分、目の前に立派な滝が現れた。さすが源流域、水は青く澄み、冷たさが足元から伝わってくる。
(6時50分)
 雌滝の高巻きは左側の滑滝状の崖を鎖で登った。
(7時00分)
 途中、雄滝への分岐が現れる。
 右へ進むと、木々の間から雄滝が姿を見せた。遠目にも大きさがわかる。
 沢へ降り、渡渉し、岩場を越えると滝前へ到達した。
大熊滝雄滝 (オオクマタキオタキ) 落差50m 評価8
(7時05分)
 滝前は広い空間になっており、落差50メートルの水が轟音を立てて落ちている。水しぶきが容赦なく降りかかり、疲れが一気に吹き飛んだ。
(7時20分)
 雄滝の左側を高巻く。高度差は160メートル。さらにそこから100メートルを降りなければならない。
(7時45分)
 ようやく峠に到着。ここまでは踏み跡も道標もあったが、峠から先は完全に道が消えていた。念のためGPSに地点を登録したが、これが帰路で大いに役立つことになる。
 崖状の場所を枝をつかみながら降りるべきだったのだろうが、誤って峠沿いに登ってしまい、最高地点へ出てしまった。そこから本沢方面へ降りると小さな沢があり、滝の音が聞こえた。どうやら天狗滝の上流に出たらしい。沢を渡り、尾根を越えると、はるか下に本沢が見え、藪をかき分けて何とか沢へ降り立った。
霧降滝 (キリフリタキ) 落差20m 評価8
(8時45分)
 山中を1時間ほど彷徨い、ようやく霧降滝に辿り着く。名の通り、霧が降り注ぐような繊細な流れに心を奪われる。しばし時間を忘れて見入ってしまった。
赤滝 (アカタキ) 落差50m 評価9
(8時50分)
 霧降滝の左側の沢にかかるのが赤滝である。落差50メートル、赤い岩盤、そして流れを左右に分ける鋸のような中央の岩。まるで巨大な恐竜が背を見せているかのような、唯一無二の姿だった。
 滝の映像
天狗滝 (テングタキ) 落差50m 評価7
(9時30分)
 赤滝を後にし、本来なら行く途中で見るはずだった天狗滝へ向かう。上段の一条の流れが中段で数段に分かれ、変化に富んだ美しい滝だ。
(10時15分)
 天狗滝から峠まで約100メートルを登るが、道はまったくない。GPSの位置を頼りに木の根をつかみながら崖を登る。木々が密集し、なかなか進めず、100メートル登るのに45分を要した。
(10時45分)
 峠からは一度歩いた道でしかも降り道。本来なら時間はかからないはずだが、疲労がたまり休み休み降りたため、160メートルを降るのに30分もかかってしまった。
(12時30分)
 雌滝付近から2時間近くかけ、ようやく車を停めた場所へ戻る。全行程は7時間だ。
 へとへとになりながらも、源流域の滝たちが見せてくれた景観は忘れがたいものとなった。



日本の滝(ホーム) 日本の滝一覧 日本の滝百選 自薦百選の滝 訪問履歴

滝の評価はあくまでも私個人の主観にもとづくものです。又、評価は気象条件等によっても変わることをご承知おき下さい。
このホームページについての御意見・御感想は、GAF03402@nifty.com までお寄せ下さい。
本ホームページの著作権は、S.KOBAYASHI に帰属しております。
本ホームページの内容の一部、または全部を、私的利用を目的とした複製等、著作権法その他法令で認められる範囲を超えて無断で複製、変更することは法律で禁じられております。