福寿会館庭園の滝(Fukujyukaikanteien no taki)


広島県福山市丸之内1丁目8
 福寿会館は百名城に選定されている福山城(71番)の敷地内にある海産物商の安部和助が昭和初期に建てた別荘で、本館・西茶室・南茶室・西蔵・東蔵・洋館すべてが国の登録有形文化財となっています。



撮影2025/10/1
 福山城を再訪しました。
 関ヶ原の戦いでの功により備後国・安芸国を治めていた福島正則が改易されたことから、徳川家康従兄弟の水野勝成が毛利氏など西国の外様大名に睨みを利かす目的で備後国東南部と備中国西南部の計10万石で大和郡山藩から転封し福山藩の初代藩主になります。
 ところが居城の備後神辺城が過去何度も落城していたことから一国一城令の例外として新たに福山城が築かれることになりました。
 以後、松平氏、阿部氏が藩主となり明治に至ります。
 藩主で最も有名なのは阿部正弘でしょう。幕末期に若くして江戸幕府の老中首座を務め、ペリー来航や日米和親条約の締結など、日本の開国に深く関わるともに「安政の改革」を断行しました。
 前回は時間切れで見れませんでしたが、今回も展示入替で天守に入れず残念です。
 代わりに本丸内の建物を見学することにしました。
 こちらは明治初期の廃城令で取り壊された鏡櫓です。1973年に再建されました。
 月見櫓は月見の為に建てられた櫓で、二階は外に展望台があり手すりも設けられています。こちらも廃城令以後、取り壊され、1966年に天守などともに再建されました。
 ここで一杯やりながら月見をしたらさぞいいでしょうね。
 その名の通り蒸し風呂が設置された御湯殿は江戸時代後期の建物で、廃城令、空襲を生き残り、藩政時代を偲ぶにふさわしい貴重な建造物として福山市の重要文化財に指定されています。
 筋鉄御門(スジガネゴモン)は1622年築城時に伏見城から移築された櫓門で、江戸初期の城郭建築が残る貴重な遺構として1950年に国の重要文化財に指定されました。
 伏見櫓も伏見城から移築された櫓で梁に「松ノ丸ノ東やく(ら)」の陰刻があり、伏見城由来が確認されています。筋鉄御門と同じく1950年に国の重要文化財に指定されました。
 江戸初期の城郭建築が残る貴重な遺構は国宝の要件を満たしていますが、伏見櫓の基礎がコンクリート化されていることや何よりも天守が存在していないことが影響しているのでしょうね。
 鐘櫓は1622年の築城当初に建造され、時の鐘として城下に時刻を知らせました。現在も「時の鐘」として1日4回(6時、12時、18時、22時)自動で打たれています。
 明治以降、荒廃が進み、屋根の葺き替えや附属建物の補修が繰り返され、原形を留めないほど損傷が激しかったため、1979年に銅板葺きで修復されました。現在は、福山市重要文化財に指定されています。
 天守は天守台7.3メートル、建物26.3メートル、総高33.6メートルと松本城(総高33.4メートル)とほぼ同じ大きさであり、西国防御の要として威容を誇っていました。
 惜しくも福山空襲で焼失し、現在の天守は1966年に鉄筋コンクリートで復元されたものです。
 第4代藩主阿部正倫公(在任1769〜1803年)が観賞し親しんだ松を本丸に植え替えた「八方よしの松」とのツーショット写真を撮りました。
 福山城天守の最大の特徴は北面の鉄板張りでしょう。山並みが迫り防備上の弱点となっていた為、砲撃への対策から厚さ3ミリメートルの鉄板が最上層を除いた壁面全体に張られた為、北側から見た天守は壁面が真っ黒でした。
 2022年の大改修では黒い鉄板張りも外観復元されています。
 福寿会館庭園を再訪しました。
 池泉越に黒い天守を観賞します。
福寿会館庭園の滝(フクジュカイカンテイエンノタキ) 落差5m 評価2
 真ん中に大きな立石があり、小さな石が脇をかためていました。



撮影2024/6/7
 東側にある福寿会館の正門から邸内に入りました。
 洋館の左隅が庭園への入口です。
 建物に入るのは有料ですが、庭園を見るだけなら無料でした。
 福山城をバックに松を中心とした草木が池を巡っています。
 東側の川を模した石組を辿っていくと、
福寿会館庭園の滝(フクジュカイカンテイエンノタキ) 落差5m 評価2
 見事な滝石組がありました。
 西門から邸宅の外へ出ます。
 北向きの庭園から見たお城は黒塗でしたが、南側から見たお城は白塗りでした。



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