養老の滝(Yourou no taki)

岐阜県養老町 総合評価8
 養老の滝は、水量はそこそこ、落差も30メートルしかなくどちらかと言えば平凡な滝だが、日本の滝百選に選ばれている。深田久弥氏は日本百名山を選ぶにあたって、品格、歴史、個性の3つを挙げられている。滝においてもこの基準が当てはまるとすれば養老の滝は間違いなく歴史において抜群の知名度があるだろう。百名山で言えば筑波山に相当する滝かもしれない。
 養老の滝にまつわる「孝行息子がお酒に変わった滝の水を老父に飲ませた所、老父が若返った」という孝子物語はあまりにも有名だ。噂を聞きつけた元正天皇が行幸して、年号までも養老に変わった (西暦717年)というぐらい他の追随を許さないだろう。
 江戸時代には、葛飾北斎が諸国瀧廻りシリーズとして描いた八つの滝 (和州吉野義経馬洗滝東都葵ケ岡の滝相州大山ろうべんの滝美濃国養老の滝下野黒髪山きりふりの滝木曾海道小野ノ瀑布木曽路ノ奥阿弥陀ケ滝東海道坂ノ下清滝) の一つにも選ばれている。



撮影2025/12/22
 養老三滝(養老の滝、秣の滝、直江の滝)の最後の一つだけまだ訪れていなかったことを思い出し、冬の澄んだ空気の中、直江の滝を目指すことにした。
 ゲートから先は未舗装だった為、ゲート手前地図に車を停めて歩いて進む。
 いくつもの堰堤を大きく迂回しながら高度を上げていく。
 やがて20分ほどで駐車場らしき平地に出た。どうやら車ならここまで来られそうだ。
 そこから先は急斜面となり、右端に取り付けられた階段を登る。
 林道は完全に途切れ、階段だけが山の奥へと続いていた。
 やがて反対岸へ渡る。
 遊歩道はそこで終わり、あとは踏み跡を頼りに道なき道を進むことになる。
 歩き始めて30分、ようやく前方に白い筋が見えた。
直江の滝(ナオエノタキ)地図 落差20m 時間30分 評価7
 二段になって落ちる滝は、水量こそ冬らしく控えめだが、養老三滝の名にふさわしい落差を誇っていた。静かな谷に響く水音が、長い歩きの疲れをそっと洗い流してくれるようだった。
 滝の映像
 往復に要した時間は1時間10分。短いながらも山の奥深さを感じる道のりだった。
 その足で養老の滝へ向かう。
 20分ほどで滝前へ着いた。
 注連縄が巻かれた石の間を抜けて滝の正面へ。
養老の滝(ヨウロウノタキ)地図 落差30m 時間20分 評価8
 やはり端正な姿で立っていた。伝説の滝らしい風格があり、何度訪れてもその佇まいに心が静まる。
 滝の映像



撮影2016/12/17
 養老の滝の近くに「養老の滝にも負けない滝がある」という話を聞き、北側の沢へ向かった。
 養老の滝の一本北側の沢だ。
 工事中だったため手前に車を置き、歩いて進む。
 工事区間を抜けると踏み跡が更に奥へと続いていた。
 しばらく歩くと滝の説明板が見える。8世紀の元正天皇、聖武天皇が養老の滝へ行幸された際にこの滝で水を汲み秣(馬の草)を採取し馬に与えられたことからこの名が付いたという。
秣の滝(マグサノタキ)地図 落差34m 時間20分 評価7
 1300年の歴史を持ちながら、今では訪れる人もほとんどいない。しかし、落差34メートルの滝は養老の滝をしのぐ迫力があり、忘れられた名瀑という言葉がふさわしかった。
 続いて南側の長命の滝へ。
 県道56号線沿いの案内板に従い林道へ入ると、大きな鳥居が迎えてくれる。
 さらに進むと赤岩奥の院の手前に滝への入口があった。
 赤岩不動明王の石碑横の階段を登る。
長命の滝(チョウミョウノタキ)地図 落差5m 時間1分 評価2
 小さな滝だが、湧き出す水は澄み切っており、名の通り長寿を授けてくれそうな清らかさがあった。
 最後に再び養老の滝へ。夕暮れ時だったため、千円払い上の駐車場を利用することにした。
養老の滝(ヨウロウノタキ)地図 落差30m 時間5分 評価8
 水量は少ない季節だが、滝の前に立つだけで歴史の重みが伝わってくる。夕闇の中、滝は静かに息づいていた。
 滝の映像



撮影2011/8/17
 山口、福岡、佐賀、長崎、広島、大阪、京都と巡った旅の最後、なぜか岐阜の養老の滝に立ち寄ることになった。名神高速で関ヶ原インターから一宮インターまで110分という表示を見て、34キロを2時間かけて走る気になれず、思わず関ヶ原で降りてしまったのだ。
 関ヶ原インターを降りて、伊勢湾岸道路の弥富インターを目指すが、途中に養老の滝があるので、ちょっと寄り道することにした。
 前回は上の駐車場から行ったので、今回は下から遊歩道を登る。
 途中の菊水霊泉の水汲み場では、驚くほど冷たくおいしい水に出会った。養老の名水の名に恥じない味だ。
 さらに上には養老神社があり、その隣に泉が湧き出している場所があった。
養老の滝(ヨウロウノタキ)地図 落差30m 時間20分 評価8
 下から遊歩道をゆっくりと歩いたが、約20分で滝前に到着。これくらいの距離ならわざわざ千円を払わなくても、運動になった分だけ得した気分だ。
 夕方で人も少なく、さまざまな角度から滝を眺めることができた。
 滝の映像



撮影2005/11/27
 紅葉真っ盛りで、道路が大渋滞するほど見物客がたくさんいた。駐車場は強気の千円、滝を見るだけで千円とは驚いたが、それだけ人を惹きつける場所なのだろう。
養老の滝(ヨウロウノタキ)地図 落差30m 時間5分 評価8
 水量はそこそこ、高さも30メートルと標準的だが、伝説をまとった滝らしい雰囲気がある。紅葉と組み合わさった景観は見事で、訪れた人々が多いのも納得だった。
 滝の映像
 葛飾北斎の「美濃国養老の滝」や歌川広重の「美濃 養老乃瀧」では川幅が広く描かれている。江戸時代には本当に幅広の滝だったのだろうか。絵師たちの筆が伝える“かつての養老”に思いを馳せながら、静かに滝を後にした。

出典:国立文化財機構所蔵品統合検索システム 葛飾北斎「美濃国養老の滝」(https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/499756



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